小林 薫

ARI ニックネーム:カオル

日本

“私は今後、多様な背景を持つ人々を取り込んだ食べ物づくりを通じて、地域や共同体の魅力を生み出し、つないでいく仕組みづくりに従事したいと考えています。”

東京の食品メーカーで働いていた彼女は、二つの問題意識を抱えながら、それらにどのように向き合うべきか、悩んでいました。問題意識というのは、社会から排除される人々をどのように受容するかということ、また資源を生かしきれない地域の衰退に、どのように歯止めをかけるかということです。
彼女は10代の頃から異文化に強い関心を持ち、高校生の時にタイに1年間留学し、大学では在日外国人・留学生をサポートする団体でボランティア活動をしていました。そうした活動の中で、彼女が魅力を感じている「異質性」によって共同体から疎外され、同質化を迫られる人々の姿を垣間見るようになります。こうして、様々な背景を持つ人々と、互いを尊重する社会を作りたい、という一つ目のテーマが生まれました。
もう一つは、彼女が大学を卒業する頃から感じ始めたことでした。地方が均質化し、財が都市に流出しているという思いは、食品メーカーの商品開発部で新しい原材料を探すようになると、さらに強くなりました。農業や食品加工業は高齢化と後継者不足が進み、またどの地域似たり寄ったりの原材料が多く、生産地と消費地の隔たりは大きいと感じていました。こうした経験から、地域性や技術力を生かして個性的な原材料を作ることができれば、魅力的な地域が増え、資源が流出せずに域内で循環し、衰退に歯止めをかけることができるのではないか、と考えるようになりました。
そしてある日、彼女は有限会社木次乳業の創業者佐藤忠吉氏の言葉「農業の基礎は生産者の健康である。まず自分のために、ものづくりをすることが大事である」という言葉に出会います。この言葉に魅力的なものづくりをするヒントがあると感じた彼女は、自分の求めるもののために働くことを決意し、アジア学院に進学しました。

アジア学院卒業後、彼女は農業や食品加工に関わる仕事がしたいと考えています。特に、自家採種によって種の多様性を守り、貧困にあえぐ農民の生活をサポートしているインドの団体や、難民・移民・元受刑者にオーガニックシードの生産技術を教えて雇用を創出しつつオーガニックシード不足の解消に取り組んでいるアメリカの団体に興味を持っています。