学び舎の創設 > つつしんで生きる - 4
| 本年9月11日(火)午前、わたし達夫婦は、たまたまニューヨークへ直行する飛行機に乗っていた。機長から短いアナウンスがあった。「ご搭乗機は1時間ほどでカナダのバンクーバーに着陸します。安全のためです。」
一瞬、ハイジャックか、爆弾騒ぎかと思った。すぐに次のアナウンスがあった。「ニューヨークと首都ワシントンで大事件―大惨事が起こったそうです。詳しい情報が入り次第、ご連絡します。」その後アナウンスは無かった。 バンクーバー空港はアメリカへ入れない100機を越える旅客機と数千人の乗客でごった返していた。信頼できる情報は皆無、アナウンスは無し。電話はパンク状態、外部との連絡は不可能。幸いわたし達は到着第1号機だったらしく、ごった返す中を航空会社が手配したチャーターバスでアメリカ側に入った。その直後国境はすべて閉鎖された。 連続テロ事件の全貌を知ったのはシアトル空港近くのホテルに入った夜9時過ぎのことである。テレビは繰り返し、世界貿易センターの2つのビルに飛行機がつっこみ火の玉が空高く上がるのを見せていた。その度にわたし達はうめき声をあげ、気分が悪くなった。 テレビはアメリカ大統領ブッシュ氏の演説も繰り返し報道した。テロリズムに対する宣戦布告である。善は悪に勝つ。正は邪に必ず勝つ。相手がハッキリしないままの、長い戦争になるだろう。やられたら、やり返せ。報復戦争だ。テレビで見るアメリカはわき返っていた。そこには「心を用いてつつしんで生きる」など微塵も感じられなかった。 20世紀は戦争の世紀だった。申し訳ない。21世紀は平和の世紀にしよう、未来の世界のために!それがどうだ。21世紀の初めの年に戦争である。未来に対して申し訳ない。戦争はすべてを破壊する。戦争の歴史は離農の歴史でもある。戦争がある度に農民達は農地を奪われ、殺戮に駆り出され、自然破壊に荷担させられた。戦争で奪われ、また荒廃した農地は気が遠くなるほど膨大なものである。 われらは戦争に反対である。雄大で繊細な自然と共に働き、日々土を豊かにする農法でいのちを支える食べ物を生産する。これほど確かな平和への道がほかにあろうか。平和のためにつつしんで生きよう。 |
