学び舎の創設 > 創立三十周年 4
“草の根”という熟語がある。この外来語はわが国ではついに根付かなかったが、導入されたのは確かである。主な日本語の辞典には“草の根”として出ている。出自は通常明らかにされていない。“草の根”はアジア学院の30年を経てますます盛んである。 わたしの理解する限り、“草の根”の原語は英語のグラスルーツ、grass rootsであり、本来の意味“草の根っこ”では滅多に使われていない。一般民衆の生活の場、彼らが日常直面する課題およびその根源、また彼らが自らの意思でこれらの課題の解決に取り組むことを意味するのであり、アジア学院にとってはなくてはならない大切な言葉である。 国民の90パーセント以上がみずからを中産階級と自負する。(1980年代にすでにそうであった)日本では、自分が“草の根”の一般民衆だと思う人はすくない。労働運動の衰退を見れば明らかである。 繰り返すが、“草の根”はアジア学院にとってはなくてはならない大切な言葉である。アジア学院は主にアジア・アフリカ・大洋州諸島の“草の根”、一般民衆(その大多数が農民である)と共に生き、彼らを取り巻く大自然を共によろこびまた敬愛し、感謝し、人類の未来のために、いま農と食をまもろうと日々努力しているのである。数年前の暮れにある研究誌が現在毎週100万人の世界人口が農村から都市へと流入している、と発表した。驚くにはあたらない。世界人口は過去何世紀にもわたって農村から都市へと動いている。注目したいのは、彼らが意図的、意識的に農と食から離れて行くことである。彼らとその子孫の多くはやがて葉っぱ一枚すら育てるすべを知らない、調理もできない人間になっていしまう。しかしかれらも生きている限り、食べつづけねばならない。 アジア学院では、ますます減る農村人口でますます増える都市人口−その中には意図的意識的に農と食から離れた人々もいる−をも支えて生きる農村コミュニティーリーダーの研修をつづけるのである。 2004年は悪い年になるようだ。“弱肉強食”はついに家庭内にまで進入した。世界の方々で戦争があるかとおもえば、生まれて間もない我が子を虐待死させる。人類を死に至らす暴力が近しい者へとその矛先を向けてきた。 アジア学院のモットーは“共に生きるために”である。“分かち合い”の世界、競争のない、戦争のない世界の実現を目指している。弱肉強食の世界にあって、世の流れに抗して、“共に生きる”分かち合いの世界の実現に向かって31年目のリーダー研修を始めるのである。 |
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