学び舎の創設

 

八木澤優子さんが急逝した。

 

交通事故である。あまりに突然のことなので、茫然自失、現実味が湧いてこない。五月六日(土)だったという。 なんでも一家4人が軽四輪に乗り、十字路での出会い頭の衝突で、相手のくるまも軽四輪、運転者は幸いかすり傷ですんだという。事故が起こったのは普通の道路だとのこと。


聞くところによると、この種の交通事故は日本だけで一年に三万件以上、そのたびに人が負傷したり、いのちを落としたりする。

警察署や交番の前には、あらかじめ用意された金属製の看板に「本日の交通事故。死亡〇人、負傷〇人。」とある。

味も素っ気もないようだが、これも大切な情報である。


さて、急逝した八木澤優子さんのことである。なんとも優しい人であった。何かの集会でお昼を一緒に食べるときなど、優子さんは必ず重箱にいっぱいの「煮もの」を用意してくれた。心のこもった、ぬくもりのあるあれである。われわれは店屋ものをさておき、まず「煮もの」に集中した。


優子さんには控えめな優しさがあった。そこにいるだけで、ホッとさせる安らぎがあった。母親のやすらぎである。その優子さんは必ず針と糸を用意していた。若いと思う優子さんには案外古風な面があったのである。


現代のわれわれが切に望んでいるのは「母親」である。普通の母親である。優子さんは普通の母親であった。惜しい人をなくしたものである。


※ 八木澤優子さんは、竹工芸家八木澤正さん夫人。正さんには学院創設当時より竹細工の指導などでご協力いただいています。

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